あらすじ
仙台市で他殺体が発見された。拘束したまま飢え苦しませ、餓死させるという残酷な殺害方法から、担当刑事の笘篠は怨恨の線で捜査する。しかし被害者は人から恨まれるとは思えない聖人のような人物で、容疑者は一向に浮かばずにいた。捜査が暗礁に乗り上げるなか、ニ体目の餓死死体が発見される。一方、事件の数日前に出所した模範囚の利根は、過去に起きたある出来事の関係者を探っていたー。
本文より
感想
真相が明らかになった時、
作者の誘導にまんまと載せられてしまった事実に気づく。
「 第四章 家族の死 」では、
貧困であることが原因で、
救われない人がいる事実を突きつけられる。
「 生活保護 」巡る悲しい物語で、
生活困窮者に与えられるべき制度「 生活保護 」の見方が変わる。
最後のどんでん返しに驚愕した。
※ネタバレあり
第一章 善人の死
福祉保険事務所の「 三雲忠勝 」が遺体で発見された。
死因は餓死。
手間のかかりすぎる殺害方法に
怨恨の線が浮かび上がる。
しかし、捜査をすればするほど
被害者が恨みを持たれるような人物ではなく
善人すぎることで事件は暗礁に乗り上げていく。
第二章 人格者の死
「 三雲 」の死から数日後、
二人目の犠牲者が出てしまう。
被害者は県議会議員の「 城之内猛留 」が遺体で発見される。
死因はまたも餓死。
二つの事件の共通点から、
被害者同士の接点を探りはじめる。
調べが進むと二人が過去に同じ職場であったことが判明。
第三章 貧者の死
八年前に同じ職場で働いていた二人の被害者。
場所は福祉保健事務所、
生活保護の申請を受け付ける部署だった。
過去のデータを調べ、
生活保護を却下された者たちに狙いを定めると
事務所に闖入してきた「 利根勝久 」に行き着く。
第四章 家族の死
刑務所を仮出所している「 利根 」は
過去に 「 遠島けい 」なる高齢女性と
接点持っていたことが明らかになる。
恵まれない家庭で育った「 利根 」は、
血のつながりのない「 けい 」と
本当の家族のような絆が生まれるが、
日に日に貧困が加速していく「 けい 」に
生活保護を求めるよう勧める。
しかし無惨にも申請は却下され、
結果として「 けい 」は餓死することになる。
申請を却下した役所と担当者を恨み、
その担当者へ暴行
さらに役所を放火未遂の罪で収監される「 利根 」。
第五章 恩讐の果て
事件の真相が明らかになったが、
「 利根 」が最後に狙うであろう人物も明らかになる。
「 上崎岳大 」、
「 利根 」の最後のターゲット。
救われなかった者たちをめぐり
犯行の全貌が明らかになる。
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