第一章 発端
主人公の「武田航(わたる)」は救急医として勤務。
元看護師で妻の「武田絵里香」と
もうすぐ生まれてくる子供と共に幸せな日々を送っていた。
そんな中、自身と全く同じ顔の身分不明の男が救急で運ばれてきた。
全く知らない男だが、同じ顔、
○体は身元不明の「キュウキュウ十二」として扱われる。
両親が他界している中、自身の出生に疑問を感じ、
同僚の「城崎響介」と○体の身元を探るべく動き出す。
第二章 連鎖
自身の出生に疑問を感じ、
二人は「航」の産まれた大阪市にある生島クリニックを訪問する。
クリニックでは体外受精をはじめとする不妊治療が活発に行われていた。
受付では「航」が「タカハシシュウイチ」と勘違いされ、
生島クリニックが「キュウキュウ十二」と接点があったことを確信する二人。
理事長の「生島京子」に面会を申し込むことに成功する。
第三章 密室
「生島京子」が理事長室にて首を吊って○んでいた。
誰が彼女を、○したか不明だが、
不可解なことに全くの密室だったことに気づく。
身元不明の○体が運ばれてきた事件は
きな臭い様相を醸し出してくる。
「京子」の○の真相が解決しない中、
「航」と「京子」の顔が似ていることに気づく。
そしてクリニックでは受精数日後の受精卵を凍結し
それを他人のお腹に入れる体外受精が過去に行われていたことが判明する。
第四章 分数
生島クリニックで体外受精が行われていたことを知った二人。
またそんな中、身元不明の「キュウキュウ十二」の
母親と名乗る女性「中川敬子」が○体の身元を特定をさせる。
「航」は自身の出生に深く関わる人物として
「中川敬子」にコンタクトをとり、会うことに。
そこで
「キュウキュウ十二」=「タカハシシュウイチ(偽名)」=「中川信也」
であることが判明する。
「信也」の出生の秘密を話す「敬子」。
不妊に悩み、過去に「生島京子」の受精卵を使用し、
後に「信也」を帝王切開で出産したことを話す。
また「京子」の受精卵は細胞分裂後
「敬子」だけでなく、同時に
「航」の母「武田美由紀」にも移植されていたことが確定する。
自身の出生が確定したのも束の間、
「敬子」から聞いた「信也」の生い立ちは
個人の人格を歪めてしまうには十分過ぎるほど壮絶なものだった。
第五章 真実
ネタバレ
「生島京子」の○の真相に気づいた「城崎」。
それと同時に「中川信也」の○の真犯人も判明する。
「航」の家で真相を話す「城崎」。
「生島京子」の受精卵が
「航」が双子ではなく、三つ子であることを明かす。
「もうすぐ真犯人が現れる」との言葉に
自身の家に帰ってきた人物。
「航」の妻であり、実の妹ということが判明した「絵里香」。
「絵里香」は「信也」が○体で発見される数日前の真相を語り出す。
最終章 蜻蛉(かげろう)
奇しくも実の兄妹であることが判明してしまった「航」と「絵里香」。
「絵里香」の罪と自分達が近親相姦である罪を
一生背負いながら生きていくことを決める。
出産された子供は禁忌の子だが
出生の秘密を抱えながら育てていくことを二人は誓った。
感想
現役医師による執筆で、
医療現場の臨場感が伝わってくるだけでなく、
真相が明かされた時のやるせなさに感動。
子を望む親と子供を持たせたいと思う医師の思いが生んだ悲劇。
2024年一番感動した作品だった。
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