全5章からなる短編推理サスペンス
- 崖の下
- ねむけ
- 命の恩
- 可燃物
- 本物か
それぞれ解説と感想(ネタバレあり)を述べます。
崖の下
スノーボードをするため雪山にきていた5名の男女
そのうちの一人「 浜津京歌 」から
「 残りの4人と連絡が取れない 」と
110番通報が入る。
4名はコース外を滑り行方不明になったとして
捜索が開始され手間もなく
メンバーの一人「 後東陵汰 」が遺体で発見される。
またもう1名「 水野正 」が重症状態で発見されたが、
命に別状はないとのことだった。
2名とも崖から滑落したが、
○亡した「 後東 」には他○の形跡があり、
近くにいた「 水野 」に疑いが掛かる。
「 水野 」には「 後東 」を○す動機もあり
被疑者としてほぼ間違いないのだが、
証拠となる凶器だけが見つからず、
逮捕に至れない状況だった。
※ネタバレ
凶器は「 開放骨折した水野自身の骨 」
折れた骨で「 後東 」の喉を突き刺し○害した。
感想
骨で刺すのはどうかと思う。。。
○害する動機があるとはいえ
自身も大怪我をしている中、
痛みに耐えて折れた骨を相手に突き刺す
という行動ができるのかどうか理解に苦しむ。
少し無理のある内容に感じた。
ねむけ
強盗致傷事件の被疑者としてマークされていた
「 田熊竜人 」が夜中に交通事故を起こした。
聞き込みをしていくと現場周辺から4件の証言が取れ、
全員が「 田熊の車が信号無視をした。」と証言した。
危険運転致傷罪の可能性もあり、
別件逮捕する公算が高まるが
何か腑に落ちない。
夜中に4件もの証言が集まったこと、
全員が同じ内容の証言をしていることに疑問を抱き、
逮捕に「 待った 」をかけていた。
「 田熊 」と4人に共通点はなし。
何か繋がりがないかを探す。
※ネタバレ
4人とも事故の瞬間、
強烈な睡魔に襲われていた。
多忙すぎて寝ていた者、
寝ていたことがバレるとまずい者など
全員が寝ていたと
知られたくいため嘘の証言をしていた。
感想
偶然皆がその場で睡魔に襲われたという事実が受け入れ難かった。
章タイトルのネタバレで先が読めてしまう。
命の恩
ある山麓で「 人体の一部 」らしきが発見される。
捜索の結果、バラバラになった男性の遺体が発見される。
遺体は「 野末晴義 」。
周囲からは良い評判のない男だった。
調べを進めるうちに
捜査線上に浮かび上がった「 宮田村昭彦 」を逮捕する。
自白も取れているが、何か引っ掛かる。
※ネタバレ
「 野末 」は首吊り自○をしていた。
「 宮田村 」は「 野末 」に命を救われたことがあり、
自分の一生を掛けて恩がえしをしようとする。
自○では保険金が出ない事を知っていた「 宮田村 」は
○因となった「 野末 」の首の部分を隠すため
わざと遺体を切り刻み、
他○に見せかけるための細工をしていた。
感想
命を救われ恩返しをしようとすることは
共感できるが、
盲目で自分の人生を捨ててでも
他人のために行動しようとする姿勢には共感が持てなかった。
可燃物
連続不審火が起こり
複数名の被疑者が浮上する。
現行犯でのみ逮捕可能な案件のため
被疑者をマークするが、
マークを開始した日以降
犯行は突然行われなくなった。
警察のマークがバレた?
犯人が目的を達成した?
様々な憶測の中、
被疑者が逮捕される。
※ネタバレ
逮捕された男は、
スーパーの駐車場で
警備員として働く高齢者男性「 大野原孝行 」。
過去に火事で多くのものを失った経験があり、
勤めるスーパーの防災意識を高めるために
連続放火を行っていた。
感想
無理がありすぎる内容だった。
いくら注意喚起とはいえ、
犯罪してまで物事を変えようとするのは
テロ行為と同じ。
盲目な犯人に共感できなかった。
本物か
ファミレス「 メイルシュトロム 」で
立てこもり事件が発生。
拳銃のようなものを所持し、
現場に緊張が走る。
保護された人物から
人質がいる可能性があり、
現場はさらに緊迫していくことになる。
※ネタバレ
犯人は被疑者として名の上がっていた男ではなく
「 メイルシュトロム店長の青戸勲 」
従業員の女性にしつこく交際を申し込んでいたが、
振られた腹いせにその女性を○害してしまう。
店内の客の子供を人質に、
父親を立てこもり犯に仕立て上げていた。
感想
最後に事件の真相がひっくり返る。
上手くいき過ぎている内容だが、
犯人がわかった時の驚きが印象的で
全5章の中では一番面白いと感じる話だった。
感想まとめ
全体的に犯人の行動に疑問符がつく話ばかりで、
共感できなかった。
真相に近づくまでのプロセスは面白かったし、
動機や行動もあり得なくはないと思う。
ただしリアリティとはかけ離れているため、
次回作に期待したい。
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