あらすじ
結婚を迫られたことがプレッシャーとなり、
恋人との関係に疑問を持つことになった「西澤架」。
結果的に婚期を逃し、元恋人を忘れられずにいた。
そして母親の言う通りに過ごし、
自身では重要な決断をしてこなかった「坂庭真実」。
2部構成に分けられた本作は
前半を「架」の視点、後半を「真実」の視点で語る。
女性に苦労したことがなく、
仕事にプライベートに充実している「架」は、
自分がひどく傲慢な態度で、それまでの女性を見ていたこと痛感する。
一方「真実」は北関東の地方都市で、
田舎の風習に縛られた狭い世界観で生きる母親の元
重要な決断は全て両親が行なっていた。
善良な子として可愛がられていたが
依存された親子関係に嫌気が差して逃げ出し、
新天地での出会いを求めていた。
マッチングアプリ経由で知り合った二人は付き合いだして2年が過ぎた頃。
「真実」の周囲にストーカーの浮かび上がる。
感想
ピュアすぎる思いが招く「嘘」。
自身の鈍感さが真相を曇らせる。
あなたはこの「嘘」が許せるだろうか？
この作品の何がいいかというと、
2部構成となっているが、
前編だけでも物語が完結してしまっていること。
後編は後付け作品としても十分な出来栄えだった。
さらに結婚というナイーブな話題も
本人、親族、友人、他人からのそれぞれの目線を丁寧に描いている点である。
目に見えない心情を具象化する技術は圧巻だった。
傲慢な思いも、善良な行いもほどほどが丁度良いと知ります。
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